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素材への旅

〈KIRIKO〉に奥行きをもたらす新しい切子ジュエリー

2026.03.20
〈KIRIKO〉に奥行きをもたらす新しい切子ジュエリー

2026SSに、SIRI SIRIの原点である〈KIRIKO〉に新作が登場します。いまでは代名詞となっている切子のガラスを用いたジュエリーは、ブランドをスタートした時から愛されて続けてきました。ブランド設立20周年を迎えデザインされた新作の〈KIRIKO〉では、様々な切子を用いています。今回は技法の異なるアイテム「Stripe」と 「Apple」に注目し、それぞれを手がけた工房へ足を運び、その技術やガラスジュエリーの魅力についてお話を伺いました。

〈KIRIKO〉に仲間入りしたのは、ガラスの表現が対照的な二つのモチーフ。どちらもガラスをカットすることで造形を作り出しますが、その佇まいは大きく異なります。「Stripe」はきらきらと輝くように磨き上げた江戸切子の技法を存分に感じられ、一方「Apple」は、自由にガラスをカットし削ぎ落とすことで生み出される唯一無二の形。ふたつのガラスジュエリーが〈KIRIKO〉の世界を一段と広げていきます。

「切子は馴染みのある伝統工芸。多くの人がイメージできるものだからこそ、それを活用し、いい意味で裏切るような新鮮なデザインを目指しています」とデザイナー岡本は〈KIRIKO〉への想いを語ります。

KRIKO Collection 2026SS

江戸切子の王道を楽しむ 「Stripe」

光を浴びて眩く輝く「Stripe」。江戸切子を象徴する均一な幾何学カットを施しています。ジュエリーのため、土台となるガラスはとても小さく、高い技術力が求められます。長年〈KIRIKO〉を手掛けている清水硝子へ、今回のピアスを担当する職人の関尚子さんを訪ねました。

清水硝子・関さん

このピアスは、フープ全体に16本の縦のカットを施していきます。まずは割り付けと呼ばれる工程で、均等に16本の線を引き、それをいくつかの工具を入れ替えながら段階的にカットを深く入れ、そして研磨の工程を複数経て、輝きを出していきます。

割り付けをしたKIRIKO Earrings Stripe Clear

「削っている部分を覗き込むことが難しいサイズなので、手の感覚で仕上がりを統一させていきます。縦線のみですが、だからこそ均一な幅と深さに切り込む難しさがあります。その分、磨き上げたときは光を反射し、キラキラとした輝きを放つとても美しいジュエリーが出来上がります」

これまでの〈KIRIKO〉は、あえて磨ききることをせず、マットな仕上がりで、すりガラスのような柔らかな光沢を楽しむものでした。それに対し「Stripe」は江戸切子の伝統的な美の在り方を、ダイレクトに感じられます。

切子 - KIRIKO Earrings Stripe Clear

「江戸切子の職人にとっては、輝きこそが完成形という考えがあるので、以前から制作している〈KIRIKO〉は興味深くも制作のゴールがわかりづらい部分がありました。ですが、同じ技法であっても、作る人や考える人によって、見え方が変わってくるという点は、江戸切子の懐の深さだと感じています。捉え方が異なる部分に面白さを感じますし、いつもSIRI SIRIから新しい提案を受けると『やってみたいな』と思うんです」

清水硝子・社長と関さん

ユニークな造形に宿るガラスの魅力「Apple」

同じガラスのカットでも、均一に割り付けて幾何学的に柄を描く江戸切子とは異なるジュエリーが「Apple」です。その名の通り誰もが親しみのあるリンゴがモチーフ。特にリンゴを8等分に切った形は、一見すると抽象的なオブジェのよう。担当したガラス作家の山田泉美さんに制作風景を紹介いただきました。

KIRIKO Necklace 1/8 Apple

「今回のAppleは、ガラスの全面をカットしてリンゴの形を切り出します。これまでの私が制作してきたSIRI SIRIのジュエリーと比較しても珍しい工法をとっています。私はバーナーでガラスを作るホットワークと呼ばれる部分と、カットや磨きなどのコールドワークの両方をひとりで行うのですが、これまではホットワークによりガラスの形を作り完成させるデザインが多かった。コールドワークも行い、ガラスを切り落として完成させるやり方は、新しいトライとなりました」

切子 - KIRIKO Necklace 1/8 Apple

シャープさとカーヴィさが同居した、くし切りのリンゴの形は、幅や角度、厚みなど、どれも1mmのずれが仕上がりに違いを生んでしまいます。通常であれば、手仕事による個体差で味があると言えるけれど、SIRI SIRIにそれは当てはまらないと山田さんは考えていました。

切子 - KIRIKO Necklace 1/8 Apple

「SIRI SIRIの場合は、ミリ単位の誤差が、ジュエリーのバランスに大きく影響してしまいます。初めてご一緒した時に、SIRI SIRIにとってのシャープさとは何かといった、感覚的なところをかなり擦り合わせることができたんです。それもあり、今では新しいデザインを発注されても、目指すべきところを図面から感じ取れるようになっています」

切子 - KIRIKO Necklace 1/8 Apple

切子 - KIRIKO Necklace 1/8 Apple

ときには、図面を見て、どのような工程を重ねたら実現できるか、すぐには思いつかず何度も試行錯誤することもあるという。 「ガラス作家からすると、工法を熟知しているが故に思い浮かばないような形を、デザイナーの岡本さんから提示されることがあります。でも、できないとは不思議と思いません。いつも、挑戦してみようって思えるんです。難しさを感じるからこそ、飽きることがありません。それがSIRI SIRIのジェエリー作りがもたらしてくれる面白さでもあります」

山田和泉さん

デザイナー岡本が、クリアで凛としたガラスの存在感に魅せられたように、清水ガラスの職人関さんも、ガラス作家の山田さんもそれぞれにガラス工芸の魅力を尋ねると、”透明であること”の美しさを一番に上げ、笑みが溢れていました。「Stripe」と「Apple」は、お二人の卓越した技巧が新しい佇まいを刻み、ガラスジュエリーのさらなる可能性を垣間見せてくれています。

KIRIKO 2026SS

→KIRIKO Collection


文 佐々木 彩

写真 小野 祐佳

〈KIRIKO〉に奥行きをもたらす新しい切子ジュエリー

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