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2018.09.14ガラス、籐、螺鈿……。SIRI SIRIのジュエリーは、生活のまわりにある素材でつくられています。連載「素材への旅」では、素材の由来や特徴をひもときながら、そこにあらたな価値を生み出す視点を掘り下げます。
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「廻る素材」
ジュエリーといえば貴金属(金やシルバー、プラチナなど)、SIRI SIRIもほとんどのアイテムのどこかに使われています。
金属は、加工しやすく、空気にふれても酸化しにくいため、非常に便利な素材といえます。
今回はジュエリーとは切っても切り離せない金属、金にフォーカスして深めてみましょう。
ジュエリーで使われている金属は「貴金属」と呼ばれ、
18金 (イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールド)、プラチナ、シルバーなどが、皆さんがよく目にする素材かと思います。
金の産地は、1880年代〜南アフリカ共和国が世界の金の2/3を占めていましたが、現在では中国が最も多く、その次にオーストラリア、アメリカ、ロシアと続きます。
希少な資源の金属には「時価」があり、国際市場の取引価格を基本に、その日のレートで価格が変動します。
「品位」と呼ばれ、その金属の品格を決めるのが、含まれている金の割合いです。純度が高いほど高品位となります。
例えば、「24」を100%として、純金と呼ばれる24金は、99.99%以上金が含まれているものを呼びます。22金は約91%、18金は75%・・・含まれています。残りには「割り金」と呼ばれる、銀や銅などの金属を混ぜています。
この割り金が入ることで金属としての硬度が上がるので、18金に比べると、24金、22金は割り金が少なく柔らかいのです。
そのため、加工しやすくて硬さもある18金が、ジュエリーにはポピュラーな素材といえるのです。
加工方法も、叩いて鍛え、強度を上げ仕上げる「鍛造(たんぞう)」と、型を作って金属を流し込みたくさん同じものをつくる「鋳造(ちゅうぞう)」、そのほか金型に沿わせて圧力を加え形をつくる「プレス」や、加熱で接点を溶融し接着する「溶接」など、あらゆる製法が開発され、生かされてきました。
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さらに金属のことを詳しく理解するために、
ドットシリーズのピアス金具を10年作り続けていただいている工房へお伺いしました。
今回私たちも素材や技法に触れるため、シルバーリングの制作体験をさせていただきました。
体験したのは「鋳造(ちゅうぞう)」の「ロストワックス」という技法で
ロウを削って作りたい形を形成し、それを金属に置き換える方法です。
まずは輪っか・棒状の「ロウ」を、作りたい厚さと自分のリングサイズに内側を削り、外側を好きな形に形成していきます。
ロウは金属より加工しやすく、型をとったら溶かして形をなくすことができる点でとても便利だそうです。
作業によって思ったより力が必要だったり、かと思えば力を入れすぎると細い部分は折れてしまったりするので、繊細なパーツは作るのに技術と経験が必要だと感じました。
大体の形が決まったら、ヤスリ400番→800番の順番で表面をなめらかにしていきます。美しく仕上げるためですが、手作業だと根気のいる作業でした。
このロウから「石膏型」を作り、その中に金属を流し込んで、(今回、ここはおまかせしました) 出来上がった金属のリングを、「磨き」で仕上げます。
金属の仕上げの際も、荒い番手のヤスリから、どんどん細かくしていき、最後はバフ(機械)で仕上げます。
ヤスリのかけ方一つでも、方向や力加減にコツが必要で、初めてというのもあり、とても時間がかかりました。
仕上げの方法は「磨き」の他に「ホーニング」という、最初からザラザラしたマットな風合いに仕上げることもあります。
最後にバフかけをすると、見違えるほどピカピカになりました。
自分で仕上げたリングは、スタッフそれぞれその人らしさを出していて、はめるとしっくりとなじみ、いびつながらも愛おしいものになりました。
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金属は、素材が発見されてから今日まで、長い歴史を廻り発展を遂げています。道具として開発されたり、ジュエリー等の装飾品として親しまれたり、様々な用途で人々の生活に寄り添い、使われてきました。
そして国をまたいでも、同じ価値を保持し、世界中を廻る素材ともいえるでしょう。
金属という素材は、長い歴史や、使う人、そして世界中をめぐって、代々受け継がれ愛されていく素材なのです。
:金属のお手入れメモ:
・使用後は専用の磨き布で、ホコリや油分を落としてください。
・着用したまま水仕事をしたり、温泉、プールなどに入ると変色の原因になるのでご注意ください。
(石やその他の素材が付いているものは、ご確認の上お手入れしてください。)