Archives / 呼吸し続ける素材 - 籐
2018.09.14ガラス、籐、螺鈿……。SIRI SIRIのジュエリーは、生活のまわりにある素材でつくられています。連載「素材への旅」では、素材の由来や特徴をひもときながら、そこにあらたな価値を生み出す視点を掘り下げます。
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「呼吸し続ける素材」
SIRI SIRIでは、初期からのコレクションとして、素材を籐でチャレンジしたARABESQUEシリーズがあります。
今回は籐について、お話したいと思います。
日本で目にする籐と言えば、すでにカゴや家具など製品として加工されたつるつるした手触りで肌馴染みの良いものがほとんどですが、
「籐(rattan)」自体が元々どこでどんな形で生息しているか、皆さんはご存知でしょうか。
籐はヤシ科のつる性植物で、種類は200種以上あります。
元々は、とても長くて表面にたくさんのトゲがついた状態で自生していて、種類によっては最長200mもある地球上最長の植物だそうです。
原産国は、インドネシア、マレーシア、フィリピンなど東南アジアを中心に
熱帯雨林地域のジャングルの山奥。
奥地へ分け入り、採ってきた籐のトゲを取り、丸いヒゴ状やかまぼこ状にひいて素材として加工されたものが世界各国へ輸出されています。
籐はとてもしなやかで軽く、水に浸して形成することで複雑な曲線を表現できる素材として重宝されています。
やはり自然素材のため、素材の入荷ごとに色や硬さが違います。
それを選別したり、「肌に触れる」ジュエリーにするために、表面を1本1本磨き上げたあとに形成し、仕上げの際に毛羽立ちを丁寧に取り除いたりと、多くの工程が必要となります。
手間と愛情、時間をかけてSIRI SIRIのジュエリーとなり、みなさまの元へお届けしています。
籐の断面には無数の穴が空いていて、制作していただいている先生に
「籐は呼吸している」と聞き、ジュエリーとしての愛しさが更に増しました。
ジャングル奥地のトゲトゲの植物から、長い工程を経て一つ一つ丁寧に仕上げられた、軽くて肌馴染みの良いジュエリー。
ぜひ手にとって、触って、身に着けてみてください。
::籐のお手入れメモ::
お手入れや使用・保存状態によって、永くご愛用いただける素材です。自然素材のため経年変化は起こりますが、その変化も一緒にお楽しみください。
・使用後は柔らかい布でホコリを落とし乾拭きをする
・直射日光を避けて、通気性の良い場所で保存すること
・軽い汚れは中性洗剤を薄めて歯ブラシや綿棒などで汚れを取り、固く絞った布で水拭きのあと、よく乾燥させてからしまう
制作部 福田