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Interview

SIRI SIRIをつくる、自分らしい働き方<後編>

2021.10.09
SIRI SIRIをつくる、自分らしい働き方<後編>

仕事をするうえでの自由と自律性、それらと対である責任とプレッシャー。これをひとりひとりが自覚したときに、素晴らしい仕事が立ち上がり、美しいプロダクトは生み出されていく。

SIRI SIRIチームにはどんな人々がいて、どのように仕事に向き合っているのか。後編では、若手スタッフ4名を紹介する。

 小さな会社だからこそ、仕事の型を壊せる

 

赤坂にあるSIRI SIRI直営店の店長を務める大槻陽子は、卸先展示会、ポップアップイベントでの接客販売、さらに今後は海外での展示会も担当する。

多岐に渡る業務に驚くが、じつは大槻自身も当初は経験したことのない働き方にとまどったのだという。長年、大手ジュエリーセレクトショップでセールスをしていた大槻にとって、良くも悪くも仕事は範囲が限られているものだったからだ。

大槻 SIRI SIRIは小さな会社だからこそ、仕事内容の自由度が高く型に囚われることがありません。でもその分、会社としていま何をすべきかを自分で考え、目標を立て、達成方法を探し、結果を出さなければいけない。自律して働くとはこういうことなのだと実感しています。どんな仕事も大変だとは思いますが、SIRI SIRIで働くことは、自身にとって貴重な学びの機会をいただいていると感じています。自分らしく働かせていただけることに感謝しています。

大槻は、昔からやりたいと思ったことは必ずアクションを起こしてきた。いつか欧州で生活してみたいという夢を叶え、イギリスとフランスに計3年間住んだ。その間には、美大のジュエリー制作のショートコースを受けたり、小さなファッションブランドのアトリエで日本向けのマーケティングを担当したり、営業やショールームセールス、ヴィンテージショップの運営からフローリストまで、心に留まったさまざまな仕事を経験した。

大槻 この会社で働きたいと思ったら、たとえ海外でもコンタクトを取り働かせてもらえるなら行ってしまうタイプでした。旅も好きで、今までに22か国を訪れました。

その上品で穏やかな口調の内には、ぶれない強さがひそかにある。

大槻 私は、自分が美しいと思うものにずっと関わっていたいという気持ちを大切にしています。SIRI SIRIのスタッフとして、その美しさだけでなく、職人さんへの敬意も込めて、後ろに流れるストーリーもきちんと伝え続けていきたいと心から思っています。

お互いを認め合っているから、ひとつのものをつくることができる

杉山絵里香はイギリスの大学でフラワーデザインを学び、長年、フローリストとして花に関する仕事をしてきた。もともとSIRI SIRIの作品の完成度の高さに加え、自律した女性に身につけてもらいたいというフィロソフィーに強く共感していたという。

杉山 花の仕事から離れたかったわけではなく「もっといいものを見つけた」という感じでしたね。

転職したときは「お花は趣味に」と思っていたという杉山。しかし、実際に入社してみると、SIRI SIRIでは以前から店舗に花を飾り、フラワーアレンジメントのワークショップを開催していたりと、杉山のスキルが生かせる場がたくさんあった。そのため現在では、接客販売のほか、店舗イベントやワークショップの企画運営、装花なども担当している。

杉山 たとえばワークショップであってもSIRI SIRIとして世に出るものなので、岡本さんから作品に対してアドバイスや意見をもらいます。そのことに毎回、感動させられています。これまではフローリストのデザイナーからしかアドバイスを受けたことがなかったので、視点がまったく違うので、すごく興味深いです。

もちろん、長年フラワーデザインを学び、フローリストとして活動してきた杉山だからこそ、譲れないという部分もあるという。

杉山 たとえば、花の素材や技法については私のほうが知っています。でも、形だったり、デザインのバランス感覚については岡本さんはやっぱりすごい。ほかにも、写真は高橋さんに撮ってもらっていますし、自分が苦手な部分については、遠慮なくほかのスタッフに助けを求めています。お互いを認め合っているからこそ、いいところをうまく足して、ひとつのワークショップをつくっていくことができるのだと思います。

そして杉山がSIRI SIRIで働き、企画を担当するうちにあらためて確信しているのは「学びの場でひとりひとりが主役になれる時間をつくること」がなによりやりたいということだ。

杉山 SIRI SIRIは、スタッフがやりたいと思ったことを全力で応援してやらせてくれるんです。私はトライアンドエラーをしながら前に進んでいきたいタイプなので、SIRI SIRIに入社して「責任を持ってやれるのなら、やりたいことをやってほしい」という姿勢がむしろ嬉しかったです。


SIRI SIRIのプロダクトの温度感を伝える

 

高橋百々子は、自身も友人らとものづくりをしながら、フリーランスでブランドやギャラリーの運営など、アートやデザインに関するさまざまな仕事を手がけている。SIRI SIRIではWebとSNSを中心にデザインとマーケティングを担当する。

高橋 これまでの仕事も、すべてデザインやアートという枠の中ではありました。前職では、ものをつくっている人たちと一緒になって、イベント運営やプロダクト企画をしていました。1日限りの企画もあれば数ヶ月かけてつくる商品もあって、人との関わりも時間の流れもさまざまでした。

SIRI SIRIの仕事を始めたきっかけは紹介だったが、ブランドの内部からクリエイションの魅力をどう広めるかに興味をもったのだという。

高橋 SIRI SIRIのジュエリーは確かにすごく素敵だけれど、素材がガラスであることに躊躇するお客さまも多いと思うんです。日常的に使う器やグラスと同じ耐熱ガラスとはいえ、割れてしまうこともありうる。そうした不安をどうしたら払拭できるんだろうという課題を、ブランドの中に入って客観的に考えるのは面白そうだなと思いました。

当初は営業として入ったものの、仕事内容はどんどん変わっていった。高橋の得意なことやSIRI SIRIが求めていることをすり合わせていった結果、今の業務内容に落ち着いたという。

高橋 SIRI SIRIはすごく柔軟性がある会社なので、主体的に動くことが求められるのかなと思います。私は「これをやりましょう」とか「これはどうしますか?」と、自分からコミュニケーションをとるようにしています。資料をつくるにしても、与えられたフォーマットでつくるのではなく、もっとわかりやすいように工夫したり、こうしたらいいんじゃないかという提案も含めて返すようにしていますね。

細部まで、創意工夫の心をもって仕事をする。たとえば、更新を担当している公式インスタグラムは「予約投稿をしない」と決めているという。

高橋 以前、予約投稿機能を使ってみたんですが、それでは事務的にやっていることがお客さんに伝わるなと思ったんですね。特にSIRI SIRIのプロダクトは人の手でつくっているから、温度があります。その温度感を伝えるためには、天気や気分、写真のバランスなど、その日その日の感覚を大切にして、手間をかける必要があるんじゃないかと思いました。

SNSの更新ひとつでも、SIRI SIRIというブランドをどう体現するか、どう伝えるかを考える。高橋の細やかさが、SIRI SIRIを多くの人に届けるための底辺を支えている。

もう一歩踏み込んで、ものづくりに関わりたかった

 

職人への制作発注、仕上がったものの検品、ショップや卸先への納品など、プロダクトの生産管理を担当する百瀬友花梨は、元スタイリストという異色の経歴の持ち主だ。なぜ生産管理を?と誰もが不思議に思うのではないだろうか。

百瀬 テレビの仕事が多かったのですが、情報が更新されるペースがとにかく早い世界なので「借りているブランドを丁寧に扱えているのか」という疑問を常に抱いていました。それで、大きい仕事が終わるタイミングで思いきってスタイリストをやめることにしたんです。

その時見かけたのがSIRI SIRI生産管理スタッフの募集だった。スタイリスト時代にリースをしたこともあり、好きなジュエリーブランドのひとつだったという。

百瀬 たとえばアパレルブランドのPRに移るとか、そういう道もあったかもしれません。でもSIRI SIRIの生産管理なら、もう一歩踏み込んでものづくりに関われると思ったんです。SIRI SIRIがすごいのは、全く違う分野から入ってくる人を受け入れてくれるところで、何をやってきたかはさほど重要じゃなくて、今あなたができることは何かというのが重要なんですね。それは大変でもあるんですが、私にとってはとてもありがたいことでした。

ところが、入社後すぐに新型コロナによる自粛がはじまった。百瀬は初めて取り組む業務だったにもかかわらず、職人と直接会うことができないまま、福田から業務を引き継いだという。

百瀬 福田さんと職人さんの長年の信頼関係があったので、仕事の引き継ぎはプレッシャーでした。新人とはいえ、職人さんは何も知らない素人から「ここをやり直してください」と言われても嫌ですよね。だからまずは日々勉強。わからないことは素直に質問して、素材や技術について教えていただきました。その積み重ねで、少しずつお話ができるようになりつつあります。

ものづくりについて学びを続ける毎日だという百瀬。今は既存商品の受注や生産管理がメインだが、いずれは商品をゼロからつくる工程にチャレンジしたいという目標もできた。

また、撮影の際にはスタイリングを任されたり、プレス業務に関わるなど、スタイリストだった経験も十二分に生かされている。これは転職した際には想定もしていなかったことだという。

百瀬 岡本さんのデザインはマイナスの美学というか、余分なものを的確に省いていく方なのですが、それが本当に心地よくて。スタイリングをしていてとても気持ちがいいんです。

表現したいものを、チームでクリエイションして形にする

百瀬が、SIRI SIRIのものづくりについて語った言葉がある。

百瀬 SIRI SIRIは、ジュエリーというよりもひとつの表現だと思うんです。だから、形は変わっていく可能性があるし、その固定されていない部分が面白い。表現したいものがあって、それを実現できる技術をもつ人(職人)とクリエイションして形にする。この制作の流れこそがSIRI SIRIの魅力だと思います。

これは、SIRI SIRIと職人の関係性について言及した話ではあったが、そのままSIRI SIRIというチームのクリエイションにも当てはまる話だろう。

表現としてのSIRI SIRIがあり、スタッフが各々、自らの視点とスキルを生かし、自らの責任のもとにクリエイションしていく。そのあり方は、けっして固定化されておらず、スタッフの個性や自律性によって広がっていく。

SIRI SIRIには、デザイナー・岡本菜穂の感性という軸はありつつも、その形や表現はチームによって蠢くように変わり、発展し続ける。このチームだからこそ今のSIRI SIRIがあり、ひとりひとりの個性が、その瞬間を体現している。

文 平川友希

SIRI SIRIをつくる、自分らしい働き方<後編>

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